転職体験談

在職中に転職活動すべきか|退職後と在職中、両方やった私の結論

自宅のテーブルで、白紙の卓上カレンダーとノートを前に、ペンを持ったまま静かに考えている男性のイラスト

転職活動は、在職中に始めたほうがいいのか。それとも、退職してからでいいのか。

私は2回転職しています。そして1回目と2回目で、やり方が違いました。1回目は退職してから探し、2回目は退職を伝えたあと、在職中に探しています。

つまり、どちらの立場も経験しました。ただ、これは「こちらが正解でした」と言える話にはなりませんでした。振り返ると、2回とも同じところでつまずいていたからです。

在職中に探すほうがいいとよく聞きます。でも、働きながら続けられる自信がなくて。
私は1回目を退職後、2回目を在職中に探しました。この記事では、それぞれで実際に何が起きたかを書きます。失業保険の制度は当時と変わっているので、今の内容もあわせて整理しますね。

この記事のポイント

  • 筆者は2回転職し、1回目は退職後・2回目は在職中に活動しました
  • 1回目の空白は約1年。ただしそのうち11か月は職探しをしていません
  • 2回目は空白なし。代わりに退職日という期限がありました
  • 自己都合退職の給付制限は、現在は原則1か月です(令和7年4月1日以降の離職)
  • 振り返ると2回とも「退職を決めたあと」に動き始めていました

私は1回目と2回目で、やり方を変えました

最初に、2回の違いを並べておきます。同じ人間が同じように転職したわけではないので、ここを混ぜると話が分からなくなってしまいます。

1回目2回目
探し始めた時期退職したあと退職を伝えたあと(在職中)
次の入社までの空白約1年なし
時間に追われた感覚なかったあった
失業保険受給した受給していない

先に書いておくと、年収が下がったのは2回目です。空白をつくらずに次へ移ったほうの転職でした。このあたりの話は転職で年収が下がった話にまとめています。

先に断っておきます

書けること

  • 私が2回、それぞれどう動いて、何が起きたか
  • 失業保険について、公式に確認できる範囲の制度の内容

書けないこと

  • ほかの人のケースや、企業ごとの事情
  • 在職中の活動を会社に知られずに進める方法。私は退職を伝えてから探したので、その立場を経験していません

1回目:退職してから探した

1回目は、退職したあとに探し始めました。次の会社に入るまでの空白は、およそ1年です。

ただ、ここは正直に書いておきます。そのうち11か月ほど、私は職探しをしていません。自分の言葉で言えば、遊んでいました。実際に動いたのは、最後のひと月ほどです。

「退職してから探すと、じっくり準備できる」という説明をよく見かけます。私の場合、時間はたしかにありました。けれど、その時間を準備に使っていたかというと、そうではありません。

退職後にできた時間が、そのまま準備の時間になるわけではありませんでした。

時間に追われた感覚は、このときはありませんでした。ただ、期限がないことが良い方向に働いたかというと、私の1年に関してはそうとも言えません。

11か月というのは、けっこう長いですね……。
長いです。だから私は「退職してから探せば大丈夫」とは書けません。自分がそうならなかったので。

2回目:退職を伝えてから探した

2回目は、先に退職の意思を伝えました。そのうえで、退職日までの間に次を探しています。働きながらの活動なので、分類としては在職中の転職活動です。

結果として、空白はできませんでした。退職した翌日から次の会社、という流れです。収入が途切れなかったので、その点では1回目より安定していました。

ただ、このときは時間に追われている感覚がありました。「退職日までに次を決めたい」という思いが、ずっとあったからです。

空白はありませんでしたが、代わりに期限がありました。

そして、年収が下がったのはこの2回目の転職です。在職中に活動していたのに、です。「在職中に動けば落ち着いて選べる」という説明が、私には当てはまりませんでした。

理由は、あとの章で書きます。在職中かどうかより、もうひとつ手前に原因がありました。

在職中に探したのに、追われる感じがあったんですか。
ありました。もう辞めることは決まっていたので、「その日までに」という区切りが自分の中にあったんだと思います。

失業保険の給付制限は、いま「原則1か月」に変わっている

お金の話にも触れておきます。私は1回目のときに失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取りました。3か月の給付制限のあとに支給が始まり、3か月間受給しています。10年以上前のことです。2回目は空白がなかったので、受給していません。

ここで大事なことがあります。私が待った3か月と、いまから離職する人の給付制限は、同じではありません。

給付制限の期間は、その後に短縮されています。体験談として私の当時の話は書けますが、これから手続きする方に当てはまるのは現在の制度のほうです。公式の記載を引用します。

現在の給付制限期間(公式)

退職日が令和7年4月1日以降である場合は原則1か月、同年3月31日以前である場合は原則2か月です。

出典:厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」

支給が始まるまでの流れは、次のとおりです。

基本手当が支給されるまでの流れ(自己都合退職の場合) 受給資格決定日から7日間の待期期間があり、正当な理由がない自己都合退職の場合は、そのあとに給付制限期間が続く。令和7年4月1日以降に離職した場合、給付制限は原則1か月。その期間が終わったあとに基本手当の支給が始まる。5年間に2回以上正当な理由なく自己都合退職した場合や重責解雇の場合は、給付制限は3か月となる。図の横幅は待期7日と給付制限1か月のおおよその日数比に合わせている。 基本手当が支給されるまでの流れ(自己都合退職の場合) 受給資格決定日 待期 7日間 給付制限 原則1か月(令和7年4月1日以降の離職) 支給開始 ← 経過する時間 → ・退職日から遡って5年間のうちに2回以上、正当な理由なく自己都合退職した場合は給付制限3か月 ・重大な理由による解雇(重責解雇)の場合も給付制限3か月 ・令和7年4月以降、リ・スキリングのために教育訓練等を受けた場合は給付制限が解除 出典:厚生労働省・ハローワークインターネットサービスの公表資料をもとに作成
出典:厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」およびハローワークインターネットサービス「基本手当について」をもとに作成。個別の期間や取り扱いは、お住まいの地域のハローワークでご確認ください。

なお、給付制限が3か月になるケースもあります。該当するのは、次の2つの場合です。

給付制限が3か月になる場合(公式)

退職日から遡って5年間のうちに2回以上正当な理由なく自己都合退職し受給資格決定を受けた場合、給付制限は3か月となります。また、自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇(重責解雇)された場合、給付制限は3か月です。

出典:厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」

受け取れるかどうかは、雇用保険に加入していた期間によって変わります。

基本手当の受給資格(公式)

離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること。ただし、特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可。

出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」

分かりにくくなりやすい点を、3つにまとめました。

Q. 退職したら、すぐに支給されますか?

いいえ。まず受給資格が決定した日から7日間の待期があります。正当な理由がない自己都合退職の場合は、そのあとに給付制限の期間が続きます。令和7年4月1日以降に離職した場合、この給付制限は原則1か月です。

Q. 給付制限の期間中に、できることはありますか?

令和7年4月以降、リ・スキリングのために教育訓練等を受けた(受けている)場合は、給付制限が解除されます。私が離職した当時にはなかった仕組みです。対象となる訓練や手続きは、ハローワークの窓口で確認できます。

Q. 退職すれば誰でも受け取れますか?

加入期間の条件があります。原則として離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算12か月以上必要です。会社の都合による離職などにあたる場合は、別の基準が設けられています。自分がどれに該当するかは、離職票を持ってハローワークで確認するのが確実です。

制度は変わります。私が3か月待ったのは10年以上前で、いまの原則1か月とはまったく別の話です。古い体験談がそのまま当てはまるとは限りません。手続きの前に、最新の案内を確認してみてください。

退職を先に決めて、よかったこと

ここまで読むと、退職を先に決めるのは損ばかりに見えるかもしれません。そうではない面もあったので、書いておきます。

2回目に私が退職を先に決めたのは、条件を比べた結果でも、損得を計算した結果でもありませんでした。気持ち的に余裕がなく、辞めたい気持ちが強かったからです。

そして、退職を決めてよかったと感じた点を挙げるなら、ひとつだけあります。辞める決断ができて、気持ちが楽になったことです。

これは戦略の話ではありません。ただ、転職活動をどう進めるかを考えるとき、この要素を抜きにしてしまうと現実と合わなくなると思います。

辞めたい気持ちが強いまま働き続けることが、いつも正解とは限りません。

在職中に活動するほうが有利だという説明は、たしかによく見かけます。収入が途切れませんし、選択肢を比べる余裕も残ります。それでも、その形を全員が取れるわけではありません。

だから私は、「在職中でなければだめだ」とは書きません。1回目は退職してから探しましたが、それでも次の会社には入っています。転職そのものは成立しました。

辞めたい気持ちが強いときに「在職中に活動しましょう」と言われても、しんどいですよね。
そう思います。私も余裕がありませんでした。だから、順番の話をする前に、いま自分がどういう状態かを見たほうがいいと思っています。

振り返ると、2回とも「退職を決めたあと」に動いていた

ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。

1回目は、退職したあとに探しました。2回目は、退職を伝えたあとに探しました。やり方は逆に見えます。けれど並べてみると、共通点がありました。

私は2回とも、辞めると決めたあとで動き始めていました。

2回目は分類としては在職中の活動です。ただ、それは「在職中」であっても「退職を決める前」ではありませんでした。もう辞めることは決まっていて、残っていたのは日付だけです。

だから在職中に探したのに、時間に追われました。期限は会社に残っているかどうかではなく、自分の中で辞めると決めた時点から動き出していたのだと思います。

とすると、選択肢は2つではありませんでした。3つ目があります。

動き出すタイミングは3つある

  • ① 退職したあとに探す(私の1回目)……期限はないが、動かない時間もつくれてしまう
  • ② 退職を伝えてから、在職中に探す(私の2回目)……空白は出ないが、退職日という期限がつく
  • ③ 退職を決める前から、情報だけ見ておく……辞めると決めていないので、期限がない

③は、私がどちらの転職でもやらなかったことです。辞めると決める前なら、いつまでに決めるという区切りがありません。比べる時間も、考え直す時間も残ります。

求人を見ることと、辞めると決めることは、本来べつの行動です。私はこの2つをいつも同時にしていました。

辞めるかどうか決めていない段階で見てもいいんでしょうか。
見るだけなら、決めていなくても問題ありません。私は「決めてから見る」順番だったので、いつも判断する時間が足りませんでした。

私が転職エージェントを使わなかった理由と、いまならどう使うかは別の記事に書きました。そこでも結論は同じで、退職を決める前に動いておくという話になっています。

辞めると決める前に、自分の経歴でどんな求人があるか聞いてみる

リクルートエージェント(公式)

まとめ|どちらが正解かより、いつ動き始めるか

整理します。

1回目は退職してから探し、空白は約1年でした。ただし11か月は職探しをしていません。時間に追われることはありませんでしたが、その時間を準備には使えませんでした。

2回目は退職を伝えてから探し、空白はありませんでした。代わりに退職日という期限があり、追われる感覚がありました。そして年収が下がったのは、この2回目です。

失業保険については、10年以上前の私のときは給付制限が3か月でした。現在は令和7年4月1日以降の離職なら原則1か月です。手続きを考えている方は、体験談ではなく最新の案内を見てください。

動き出す前のセルフチェック

  • 辞めると決める前に、求人を見る時間をとった
  • 「いつまでに決めるか」を、退職日ではなく自分で決めている
  • 収入が途切れる期間を、事前に見積もった
  • 失業保険を使う場合、待期と給付制限の期間を確認した
  • 提示された条件が妥当かどうか、自分以外の視点でも確かめた
  • 辞めたい気持ちと、次を決める判断を、分けて考えられている

在職中と退職後、どちらが正しいかという問いに、私は答えを持っていません。両方やって、どちらにも良い面と難しい面がありました。

ただ、ひとつだけはっきりしたことがあります。私に足りなかったのは在職か退職かではなく、決める前に動くという選択肢でした。

いま辞めたい気持ちが強い方に、我慢を勧めるつもりはありません。私もそうでしたし、その気持ちを抱えたまま冷静に比較するのは難しいと思います。それでも、辞めると決める前に少しだけ外を見ておくと、あとで選べる幅が変わってきます。

決める前に、自分の経歴でどんな選択肢があるか確かめておく

リクルートエージェント(公式)

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